転移性脳腫瘍(てんいせいのうしゅよう)


転移性脳腫瘍(てんいせいのうしゅよう)

●どのくらいの患者さんがいるのですか?

日本では、年間5万人以上の患者さんが転移性脳腫瘍を発症し、患者さんの総数は6から12万人と推定されています。転移性脳腫瘍を伴ったがん患者さんの死亡原因は、原発巣(もともとの臓器に生じたがんのことです)の悪化によるものが50%、転移性脳腫瘍(がん性髄膜炎を含む)によるものが30%と言われています。年間2万人以上の方々が、転移性脳腫瘍で亡くなられていると推定されます。


●原発巣(もともとの臓器に生じたがん)としては、どんな種類のがんが多いのですか?

肺がんが最も多く約半数を占めます。

●どのような症状を生じますか?

1)頭痛、2)脳機能の障害による症状(麻痺、しびれ、言葉がしゃべりにくい など)、3)ひきつけ(てんかん発作)、4)精神症状(物覚えが悪い、急に性格が変わった など)です。

●脳への転移があるということは、末期状態ということになるので、治療は無意味ではありませんか?

たしかに原発巣の再発や脳以外の臓器にも転移があり、脳にも転移がある、となると脳の転移巣だけのことを考えて治療していても意味がありません。しかし、転移が脳にしかなく、原発巣や他の臓器の転移巣がうまく治療されている場合、脳への転移があってもそれだけで“末期”であるということにはなりません。また、脳への転移があることによって生じる麻痺や頭痛といった症状が患者さんにとって非常につらいこともあります。全身状態や脳の転移の大きさ、場所、数などにもよりますが、いろいろな治療を行うことによって、余命を延ばし、また、余命を延ばすことができなくても、つらい症状をとることによって限られた余命を有意義に過ごしていただくことができます。ですから、脳に転移があっても、それを積極的に治療する場合も少なくありません。脳の転移が見つかった後、脳の転移巣に対する治療を行い、その後何年も無症状で生存されている方もいらっしゃいます。

●どのくらいのはやさで大きくなるのですか?

肺がんの脳転移の場合、腫瘍の大きさ(体積)が倍になるのに、平均25日という報告があります。直径2cmでみつかった腫瘍が、3〜4ヶ月で直径5cm(この大きさになると致命的です)になります。

●どのような治療法があるのですか?

がんの種類、転移巣の場所や数によりますが、摘出手術、放射線療法、化学療法を組み合わせて行ないます。

●放射線治療にはどのような種類がありますか?

転移性脳腫瘍に対しては、脳全体に放射線照射を行う全脳照射が標準的な方法です。最近では、ガンマナイフ、エックスナイフ、サイバーナイフといった定位照射(ある一定の領域に放射線を集中的に照射する)も用いられます。定位照射では、治療期間が短く(1泊2日の入院で済むこともあります)、場合によって何回も繰り返すことができる、がんの種類によらず有効である、全脳照射で生じることがある認知症になりにくい、などの利点があります。しかし、定位照射だけでは、全脳照射とくらべ、新たな転移巣が生じる可能性が高くなるとも言われています。全脳照射と定位照射を組み合わせて行うこともありますが、その有効性は確立されたものではありません。

●化学療法(抗がん剤の投与)は効果がありますか?

がんの種類により、化学療法の有効性が認められています。特に肺がん(特に小細胞がん)、乳がん、胚細胞性腫瘍 などの化学療法が効きやすい腫瘍による脳転移の場合は、原発巣同様、腫瘍が小さくなることが期待できます。

特に危険な場所としては、言葉を話したり、理解するのをつかさどる言語野、手足を動かす運動野やその神経路である錐体路(すいたいろ)、意識の中枢や多くの神経路・神経核などが密集している脳幹(のうかん)など、いくつもあります。

●お薬による治療もあるのですか?

グレード3およびグレード4の神経膠腫では、テモゾロマイド(商品名テモダール)という飲み薬を、放射線治療中および治療後、または再発したときに服用します。またインターフェロン(商品名フェロン)の点滴も行うことがあります。髄芽腫、胚細胞性腫瘍や小児の神経膠腫では、数種類の抗がん剤を組み合わせて、点滴による治療を行います。

また下垂体腺腫では、様々なホルモンが過剰に分泌されたり、逆にホルモンの分泌が不十分になることがあり、ホルモンの分泌を抑える薬剤の投与やホルモンの補充が必要になることがあります。






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